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本日よりスタート

全日本サーフィン選手権大会の準備
避難訓練の練習

全日本サーフィン選手権大会

磐田市豊浜海岸
本日から規制スタート
大会会場内に選手の駐車スペース有ります
勿論 無料です
駐車スペース450台
本部テント横には観客席の組み立ても
本日よりスタートしてます
海の中では早くも
全日本選手スプレー飛ばしてます
見に来てください
国内アマチュア最高峰の全日本サーフィン選手権大会 楽しいですよ?

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シネマヴェーラ渋谷

羽仁進レトロスペクティブ 映画を越境する より

製作:岩波映画製作所

監督:羽仁進

脚本:清水邦夫

撮影:長野重一

美術:今保太郎

音楽:武満徹

出演:左幸子 岡田英次 山下菊二 長谷川明男 五十嵐まりこ 市田ひろみ 穂積隆信 蜷川幸雄

1963年10月18日公開

東京の郊外にある広大な団地の一角に、石川直子(左幸子)と英一(岡田英次)夫婦は住んでいます。ある夜、直子は団地近くのバタヤ集落が燃えているのを目にします。翌朝、彼女は焼け跡で土を掘り返す盲目の少女(五十嵐まりこ)と出会います。その少女は、廃品回収をしている男と一緒に暮らしていました。直子は黒犬のクマと少女をつれて歩いているその男に見覚えがありました。夫の大学時代の友人の伊古奈(山下菊二)でした。

直子は伊古奈に対して分け隔てなく接するものの、伊古奈が自宅にあったトロフィを無断で持ち出したことから、二人の間に険悪な空気が流れます。直子から話を聞いた英一も激高し、バタヤ部落に抗議に押しかけますが、数日後、頭を冷やした夫は、昔の友人を現在の境遇から救おうと水道局の仕事を紹介します。しかし、伊古奈はその申し出を拒否し、今まで通り仕事を続けます。

そうこうするうちに、団地の住民からの要望で、団地と部落の間に柵が作られ、バタヤ部落の人々も次々と土地を去っていきます。そんなある日、伊古奈の留守中に少女が高熱を発し、直子は自宅に引き取り療養させます。しかし、英一は妻の度を越した親切を理解できず、やむなく直子は少女を病院に入院させます。

やがて、伊古奈の飼っていたクマがいなくなり、直子も伊古奈と一緒に団地の周辺を探しますが、飼い犬は無残な姿となって発見されます。後日、直子は病院に少女の見舞いに行くものの、少女は伊古奈らしき男と退院しており、そのまま行方が分からなくなります。

直子がバタヤ部落の火事を見に行こうとする冒頭から、この女性の特異な面が際立ちます。好奇心旺盛であると同時に、他人にお節介をしたがる性格の女性は、面倒な存在になりがちですが、演じる左幸子の人柄のせいなのか、あまり嫌な感じはしません。彼女が困っている相手に対して、見過ごすことのできない女性であることが徐々に明らかになると、猶更親近感を抱くようになります。団地に住む主婦たちの噂話から、直子が満州から引き揚げて苦労してきたことも分かり、その体験が彼女の行動の原理になっているのかと、色々と想像を巡らせたくなります。

物語が進むにつれ、表向きは近所づき合いをそつなくこなしているものの、直子が中流の団地生活に馴染めていないことも明らかになります。したがって、彼女が自分と同じ匂いを持つ伊古奈に、傍観者になれないのも腑に落ちてきます。かつて英一と伊古奈は、学生時代に貧困地域でボランティア活動をしていましたが、卒業後に英一が良識ある社会人として夫婦生活を送るのに対し、伊古奈は身寄りのない盲目の少女を引き取り貧しい暮らしをしています。英一はその負い目があるためか、伊古奈に新たな職を紹介しようとしますが、伊古奈は現在の生活に固執します。

英一は妻を理解しようとする善き夫ではありますが、妻との間には超えられない壁があり、そのことが夫婦の間に埋めることのできない溝を生んでいます。本作には部落問題という非常にセンシティブな要素を孕んでいます。ただし、差別問題を声高に訴えるのではなく、直子の目を通して、観客の心に沁み込むような形で、異質なものを排除する構造が語られてゆきます。(直接には見せませんが)少年たちが伊古奈の飼っている犬を集団で殺す件などは、後年、中学生たちが無抵抗のホームレスをなぶり殺した事件を想起させ、薄ら寒さを感じてしまいました。ちなみに、本作はベルリン映画祭の特別賞、主演女優賞、国際カトリック賞を受賞しています。

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