ナショナリズムは何故吾郎を引き起こすか
人気企業ランキングからは見えてこない、ホントの吾郎。
皆さん、こんばんは。ONE'S店主でございます。
過日、いつものように晩酌を兼ねた遅い夕食をとりながら、ホゲーっとテレビのプロ野球ニュースを眺めていた。
横から母親が私に話しかけてきた。
ふん、またどうせいつもの、友達の誰々とどこそこのスーパーでバッタリ会っただの、あっちのドラッグストアよりもこっちのドラッグストアの方がティッシュペーパーやら洗剤やらが安かっただのといった、実に他愛のない、プロ野球ニュースを観ながらフンフンフガフガとテキトーに相づちを打っていればイイような話だろうと思った。
しかし、その日の話はいつもとはちょっと違っていて、母親がいつものように地元商店街へルンルンと買い物に出かけたところ、商店街の一角に人だかりが出来ていて、なんだなんだと母親も加わって様子を見ると、そこで俳優の小栗旬が街ブラロケをしていたそうである。
これが仮に、石原さとみが手ブラをしながら街ブラロケをしていた、と母親が話しはじめたとしたら、私は即座に怒りの鉄槌バーニングハンマーで食卓を真っ二つ、母親に対し、なぜ、ただちに私に電話し、その後、魚屋の水槽から大きなブリを強奪、なにこら、タコこらとそれを振り回しながらロケに乱入、さとみちゃんの共演者であるクリス松村と伊吹吾郎の頭部をブリで殴打、ロケを中断させ、私が横浜から戻って来るまでの時間稼ぎをしなかったのか、と母親に詰め寄るところである。
だが、それが小栗旬だというものだから、怒りの鉄槌バーニングハンマーを食卓に打ち下ろすことなく、いつもと変わらずプロ野球ニュースを観ながらフンフンフガフガとテキトーに相づちを打ち、芋焼酎をグビグビと飲んでいたのである。
一方、母親はといえば、私のいつもと変わらぬ反応を気にするでもなく、背がスラっと高くってね~とか、テレビで見るよりずっとハンサムだったわよ~とかなんとか言い、しまいにはイイ冥土の土産になったわ~と話していた。
冥土の土産だなんて大袈裟な・・・うん?待てよ、冥土の土産・・・メイドの土産・・・
右手に旅行鞄を持ち、私は家路を辿っていた。同窓会を兼ねた1泊2日の温泉旅行の帰りである。
「ただいま」
「あらあら、旦那様、よくおかえりなさいました」
「いやいや、温泉に行っておいてなんだがね、お里さん。温泉でゆったりたっぷりのんびり、だなんて、まったくの出鱈目だな。若者ならともかく、還暦近い人間が1泊2日で温泉だなんて行くもんじゃないね」
「あら、そうですか?私などは温泉と聞くとうらやましくてしょうがありませんがねぇ、えぇ」
「いやぁ、そうは言うがね、お里さん。温泉宿に着くやいなや、酒を飲みはじめるだろう。あの連中ときたら酒が好きで好きでたまらない人間ばかりだからな。そうして酒を浴びるほど飲んでから、温泉に浸かって心臓をバクバクいわすワケだ。その後の宴会にスーパーコンパニオンがやって来てだね、片方の乳を出してウフンなんてやるものだから、今度は別の部分の血流がバクバクしてしまって、ゆったりたっぷりのんびりどころじゃないんだよ。ああいう酒飲み連中とは一緒に温泉に行くもんじゃないね、まったく」
「そういう旦那様だって毎日毎日、お酒をガブガブ飲まれるじゃないですか。それに、今回の旅行でだって、皆さんと一緒になってお酒を飲まれてたんでしょう?人のことばかり言えませんからね」
「ふん、私と彼らを一緒にしないでくれたまえよ、お里さん。あぁ、そうだ。お里さんに土産を買ってきたんだ」
「あら、嬉しい。旦那様はこんな老いぼれをいつも気にかけてくれて、本当にありがたく思います」
「老いぼれだなんて、なにを言うんだね、お里さん。お里さんにはまだまだ頑張ってもらわないとイケないんだからね」
「お父様の代からこの家に仕えて60年になりますが、まだまだ私は旦那様の身のまわりのお世話をさせていただきますよ、オホホ」
「ほほぅ、それはなんとも頼もしいかぎりじゃないか、お里さん、アハハハ。おっと、そうだ、土産だ。お里さんの大好きな穴子の蒲焼なんだがね。真空パックになっているから日持ちもするだろう」
「まぁ!旦那様っ!たった今、まだまだ私は旦那様の身のまわりのお世話を、と申したばかりですが、今日をもって辞めさせていただきます!」
「おいおい、お里さん、いきなりどうしたというんだね?」
「旦那様にそんな下品なことを言われるとは夢にも思いませんでしたっ!私のような年寄り相手になんてハレンチなことをおっしゃるんですか!」
「下品?ハレンチ?いったい私が何を言ったというんだね?さっぱりワケが分からないぞ、お里さん」
「まぁ~この期に及んでしらばっくれるのですね。私はハッキリとこの耳で聞きましたからね。私の大好きなアナルがガバ開き、さらにはチ○コパックンとまで旦那様はおっしゃいましたっ!」
「アナルがガバ開き?チ○コパックン?一体全体、何を言ってるんだね、お里さん。私はこの土産のことを言ったんだぞ。穴子の蒲焼が真空パックになったモノだ、とね」
「あらやだ、私ったら。なんだかここ最近、すっかり耳が遠くなってしまって」
「まったくしょうがないな、お里さん。今度は土産に補聴器を買ってこないとイケないようだね、アッハッハッハ」
「お恥ずかしいかぎりでございます、旦那様、オホホホホ」
「アッハッハッハ」
「オホホホホ」
「アッハッハッハ」
「オホホホホ」