観客最強伝説
先日智くんに「世阿弥」を演じてほしいと言ってから妄想が止まりません。
こんな場面が観てみたい。
設定:
1394年(応永元年)12月 満月の夜
寵愛を受けた足利義満の出家を祝う舞の席
舞専用の舞台ではなく庭に設置された仮舞台。4隅に立てられた篝火がゆらゆらと舞台を照らしている。
舞台前面中央には、枯れススキが一束結び付けられた木組みの井筒。
舞の始まりを告げる音楽と共に4隅の篝火が突然消える。ハッと息を飲む観客達。
朱色の襦袢の上に白に銀糸の刺繍を施した羽二重をまとった世阿弥演じる在原業平の妻、里の女登場。
月の光の中にぼーっと白く浮かぶ影は、舞台の上をまるで水面を滑るかの様。
思い出の場所井筒の周りをくるりと回れば、キラキラと光る銀糸が観る者の目に残像を写し、幽玄の世界へと誘う。
表情のない若女の面は舞い手の微妙な首の角度、手の仕草一つで悲しみがふつふつと滲み出る、憂いを帯びた女の顔に見えるから不思議だ。
時折覗く朱色の襦袢は妖艶で、離れてもなお夫を恋い焦がれる女の想いが推し量られて、一層不憫である。
舞台は一転。
篝火の一つにだけ火が灯される。
ゆらゆらと揺れる灯りの中、先ほどの朱色の襦袢の上に今度は夫、業平の形見である薄浅葱色の着物をまとった井筒の女が登場。
まるで業平と一体になったかの様な舞は、先ほどのたおやかな舞とは一変、優雅な中にも力強さのある益荒男の舞。
それでもここかしこ、ちらつく朱色の襦袢に夫に寄り添う女の存在が見え隠れして、揺るぎなさと儚さが交差する。
そのアンビバレンスな倒錯した美に、酒も忘れて酔いしれる観客達。
ひとしきり舞った後、静かに二人の出会いの場所井筒へ近づく影。井筒の水面に自分の姿を映すと、そこにいたのは愛しい夫。
囃子も歌も途切れ、時間までも止まってしまった様な一瞬の静寂の中「なんて懐かしい。。。」そう呟いて泣き崩れる女。
篝火が消え、闇に溶け込む女の姿…義満の目にもいつしか涙が。。。
と、勝手に妄想して楽しんでいます。
この演目「井筒」を選んだのは一人二役で「女舞」と「男舞」が見れるところ。
能のことなど全く知らないので、お門違いの解釈になっているかと思いますが、そこは戯言として大目に見てください!(^_^;)
観客のダンスパーティー
素敵な夢を見たのでこれは書かなきゃと思ってシブヤノオトスルーで書いてます!!