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観客 暑い暑いと文句言えるシアワセよ。

ジャック・ドゥミ監督とその夫人のアニエス・ヴァルダ監督の5本の映画の特集上映が、今池の名古屋シネマテークであった。ヴァルダの監督作品は見ることができませんでしたが、ドゥミの作品は長編デビュー作の『ローラ』、長編2作目の『天使の入江』を上映開始の土曜日に連続でスクリーン鑑賞。デジタル・リマスター版で半世紀の経年を感じさせない映像でした。

ことに『ローラ』は、妻ヴァルダと盟友・故ラウル・クタ―ルの監修・全面協力によって2012年に完全修復されたものです。また、長編2作目の『天使の入江』はチラシの表現に頼れば「劇場正式初公開」だそうです。この作品の上映時は、狭いシネマテークの場内がほぼ満席の状態でした。“初公開”のコピー以上に、フランスを代表する主演女優ジャンヌ・モローの直前の訃報が影響していたのかもしれません(涙)。名古屋シネマテーク(会員当日で各1,300円)。

『ローラ』(1961年、監督・脚本/ジャック・ドゥミ、撮影/ラウル・クタール、編集/アンヌ・マリー・コトレ、音楽/ミシェル・ルグラン)

以下は特集上映「ドゥミとヴァルダ、幸福についての5つの物語」のチラシに記載されている映画『ローラ』の作品紹介です。

その奇跡のようなきらめきから、「ヌーヴェル・ヴァーグの真珠」と讃えられる長編デビュー作。大西洋に面した港町ナント。キャバレーの踊り子ローラは、初恋の男性を待ち続けている…。訪れては去り、出会ってはすれ違う他愛のない日常も、ドゥミの手にかかれば、甘美で切ないおとぎ話へと羽ばたいてゆく。やわらかに降り注ぐ光のもと、街角で生きる人々の恋と青春を、溢れる情緒で謳いあげた永遠の名作。

フランス西部の港町ナント。キャバレーの踊り子として生計を立てるシングルマザーのローラ(アヌーク・エーメ)は、7年前に姿を消した恋人ミシェル(ジャック・アルダン)の帰りを今も待ち続けていた。ある日彼女は、幼なじみの青年ローラン(マルク・ミシェル)と10年ぶりに再会する。ローランは初恋相手であるローラへの変わらぬ想いを確信し、彼女に愛を告白する…。

アヌーク・エーメが演じている“ローラ”の名前は、そのまま映画タイトルにもなっていますが、彼女の本当の名前は「セシル」です。幼馴染みのローランが書店で出会った母娘の娘が同じ名前だったことから、彼女のことを思い出していると当人と偶然の再会を果たすのです。ローランにとっての初恋の女性のセシルですが、彼女にとっての“想い人”はミシェルです。

久しぶりの再会の中で、彼女は14歳の時の初恋の相手ミシェルとの出会い、そして子供の出産から、今も姿を消した恋人を待っている心情までを語ります。セシルの告白を聞いたローランは、夜が明けるまでナントの街をひとりで歩き続け、彼女を愛する自身の気持ちを確信するわけです。そして彼女に愛を打ち明けるのですが、セシルは優しく微笑むだけの応対です。

彼女がミシェルに似たアメリカ水兵とつき合っていることから、ローランとセシルの間で諍いも起きますが、やがて仲直りし、それぞれの新しい生活に向かおうとする。男性観客としては、初恋の相手への想いが叶わぬローランにどうにも気持ちが傾いてなりません。二人の“すれ違い”のドラマを見ていて、名作『シェルブールの雨傘』につながる世界とも感じました。

                                                 

『天使の入江』(1963年、監督・脚本/ジャック・ドゥミ、撮影/ジャン・ラビエ、音楽/ミシェル・ルグラン)

以下は特集上映「ドゥミとヴァルダ、幸福についての5つの物語」のチラシに記載されている映画『天使の入江』の作品紹介です。

パリの銀行。退屈な日常。ハンサムな青年。南仏のリゾート。放蕩。いわくありげなブロンドの美女…。 ニースの美しい保養地、通称“天使の入江”のカジノを舞台に、ギャンブルに魅せられた男女の、エレガントでデカダンな夏の逃避行を描く愛のドラマ。二人を繋ぎとめるのは、ルーレット任せの偶然?それとも、愛?ヌーヴェル・ヴァーグのミューズ、ジャンヌ・モローの「ファム・ファタール」ぶりは必見。

8月になって飛び込んできたジャンヌ・モローの訃報ですが、ネットで検索すれば亡くなったのは7月31日で、すでに89歳になっていたんですね。彼女が強烈な色香を発揮しているルイ・マル監督のが60年も前の作品ですから、当然といえば当然ともいえます。トリュフォー監督の(1961年)のヒロイン役も強い印象が残っています。

舞台となっているのは、まばゆい陽光が降り注ぐニースの“天使の入江”と呼ばれる場所に立つカジノ。パリの銀行で働くジャン(クロード・マン)は、同僚に連れられて訪れたカジノで大当たりをする。それを知った父親から縁を切られてしまいますが、彼のカジノ通いは治まらず、そこで美しいブロンドの女性ジャッキー(ジャンヌ・モロー)と運命的な出会いをするのです。 

彼女とパートナーを組んでますますギャンブルにのめり込んでいくジャン。大勝ちをした日にはモンテカルロまで出かけて豪遊もしますが、その勝った時の恍惚感が忘れられないのか、さらにギャンブルにのめり込み、結局は“文無し”状態になってしまう。ジャンがギャンブル依存に近い症状になるのは、ほとんどギャンブル中毒のジャッキーの色香と無縁ではないはずです。

彼女にはかつてギャンブルのせいで、夫と息子を捨てた過去があることもわかります。ギャンブルをやめて新しい人生を歩もうとしても、結局カジノに足を運んでしまうジャッキー。彼女に思慕をつのらせるくジャンが、最後に選択する決断で映画はラストを迎えます。それは少し唐突な印象の演出にも思えますが、ロマンティックな展開で作品の後味は悪くありません。

観客は博愛主義の夢を見るか?

おはようございます??

今朝の購読紙です、〝国内に伝承される唯一の仏教劇〟とされて、重要無形民俗文化財に指定されている
「鬼来迎 」が(千葉県)横芝光町の広済寺で上演されたという記事が掲載された!
境内を埋め尽くすほど多数の老若男女が集まり、舞台で繰り広げられる〝地獄絵図〟を堪能したという!

※境内には大勢の観客が集まった=横芝光町、

(掲載された記事から、2017.8.20)
鬼来迎は800年近い歴史を有する仏教説話、毎年この時期、地元の若者を中心に構成する「鬼来迎保存会」(深田和会長)が演じている!
記事によれば、
死んだ悪人が地獄で裁きを受け、鬼から釜ゆでの刑など罰を与えられるが、哀れんだ菩薩(ぼさつ)に救われる話だそうだ、奇声を発しながら舞台上で、暴れ回る鬼 たちは、まさに地獄から這いでてきたかのような迫力、観客は息をのんでいたそうだ!
(※記事は千葉日報紙2017.8.20)

そしと今週の「週間ダイジェスト」は、

12日は、日航ジャンボ機墜落事故から32年を迎え、大網白里市の画家 清水敬由さんが、船橋市にある自身が制作した犠牲者を追悼する石像を訪れ、冥福を祈った!
13日は、終戦の2日前、旧国鉄の成東駅(山武市)で米軍の機銃掃射を受けた貨物列車が爆発 し、犠牲になった駅員ら計42人を追悼、JR成東駅の慰霊碑前で開かれたという、
16日は、前述の横芝光町の「鬼来迎」が披露された、
こんな1週間であったという!

※今朝の記事から、読売2017.8.20

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