観客………恐ろしい子!
三軒茶屋のシアタートラムで上演中の「チック」を観た。
原作は、ドイツで220万部を超えるベストセラーとなり、26カ国で翻訳されている小説。
映画化もされており、日本でも今秋公開予定。
そんな話題作の日本での舞台初演。
本国ドイツでは2011年の初演以来、今もなお上演されているらしい。
14歳の少年2人のひと夏の冒険を描いた物語。
自分に自信が持てず、クラスの中でも浮いた存在になっているマイク(篠山輝信)。
母親(あめくみちこ)はアルコール中毒で入退院を繰り返し、父親(大鷹明良)は出張と称して浮気をしている。
二人の間には口喧嘩が絶えず、マイクは退屈な日々を過ごしている。
そんなある日、ロシアからの移民で少し風変わりなチック(柄本時生)が転校してくる。
転校初日の自己紹介も拒否し、先生が代行して経歴を披露するような問題児。
しかし、彼との出逢いがマイクの生活に変化を与える。
クラスの大半の生徒が招待された好きな女の子のパーティにも呼ばれず、ショックを隠し切れないマイクの元に、盗んだ車に乗ったチックが訪ねてくる。
チックに誘われて車に乗り込んだ二人は、ひと夏の旅に出る。
そこには、新しい世界と新しい出逢いが待っていた。
前述の映画とは異なり、舞台は劇場という限られた空間。
シアタートラムは小さな劇場だし、舞台装置も大掛かりなものではない。
しかし、そんな制約の中で、カメラで出演者を映してライブ映像を見せたり、ラジコンカーを二人が乗り込んだ車に見立てたり、少年たちの旅を観せる演出が面白い。
開演直後から一人芝居状態の篠山輝信のセリフ量は膨大。
物語の案内役として、観客に語りかけるような場面もあり、笑いが起きる。
舞台を観ていると、人それぞれに笑いのツボみたいなものがあって、その感覚の違いも面白い。
カメラで写される映像で笑う人がいれば、マイクの両親の夫婦喧嘩の場面で笑う人もいる。
私は、チック役の柄本時生があまりにハマり役で、淡々とした語り口が可笑しくてクスクスと笑っていた。
マイクとチックを演じる二人以外は複数の役を演じている。
あめくみちこと大鷹明良はこれまでも色々な舞台で拝見しているが、さすがに演じ分けが見事。
豚(だったかなぁ・・・若干、被り物系・・・)まで演っていた。
土井ケイトは初めて観たと思うが、セリフも聞き取りやすく、カッコよかった。
物語としての驚きやどんでん返しはない。
しかし、14歳という多感な時期の少年たちを描いた作品は、きっと観客をその頃の自分とダブらせる。
誰もが、こんな冒険をしてみたいと思ったことがあるのではないかと思う。
派手さはないが共感度が高い作品だった。
観客築を喜ばれるより、十年後に感謝される大工。
本日、糸東会全国の初日でした
コート12面、結構な人数です。
小学3年男子 準優勝 梅田 悠希
小学5年男子 優勝 藤 志門
小学3年男子 優勝 辻本 隆志
小学3年女子 優勝 大山 友涼季
写真は形、中学3年女子優勝の愛佳と。
会長先生率いる、城南学園大活躍。
我々も負けてはいられません。